Software Design 1992年3月号

毎日更新と言いつつ、早速体調不良で一日飛ばしてしまった。残念。まあこりずにのんびり行きます。

本号の特集は「UNIX活用の要!データベース総点検」ということで、おそらくSD誌最初のDB特集なのかな?一応筆者はデータベース及び関連製品のプリセールスやコンサルティングが本業なので、大好物な分野だ。
記事は当時おそらくまだ珍しかっただろうRDBMSの説明と製品群の紹介などがメイン。面白かったのはRDBMSそのものよりも周辺の開発環境に言及している部分が多かった点。4GL(第4世代言語)なんて今はめったに聞かなくなった単語が頻出し、いかに帳票や画面が手軽に開発できるかという部分に注力を挙げていたようだ。いまだとそちらは汎用的な開発環境に任せ、DBはJDBCから呼び出せばOK、ってことになってもっぱらRDBエンジンの話中心になるので、ここでも時代の流れを感じる。
取り上げられているDBMSは以下の通り。

  • Informix
  • ORACLE
  • SYBASE
  • UNIFY
  • Empress
  • INGRES
  • G-BASE
  • Easy-Call
  • GemStone
  • ObjectStore
  • ONTOS
  • VERSANT
  • Objectivity/DB

なお、GemStone以下はOODBMS(オブジェクト指向DB)だ。知らないものも多いなあ。この中でそのまま繁栄しているのはOracleくらいか。InformixはIBMに買われ、SYBASEはSAPに買われてどちらも虫の息だけど、SYBASEのWindows版はSQL ServerとしてRDBMSの勝ち組に。INGRESからはPostgreSQLが生まれ(Ingresもまだ生きてるし、筆者もバッチリ仕事で関わっているが)、あとはここにはないMySQLが今の代表的なRDBMSか。OODBMSは知識がないのでわからん。

一般記事や連載は相変わらずオブジェクト指向とNeXTが多い。なんとなく記事の著者たちのノリが当時のパソコン雑誌を思い出して、今のSD誌とは違った雰囲気だ。これがここから20年でどのように変わっていくのか、それが一気に読み進める理由だったりする。

Software Design 1992年2月号

本号の特集は「実践第一!こうすればできるネットワーク」。UNIX系雑誌なのでTCP/IPネットワークの話が進んでいく。NFS, telnet, rsh系コマンドなど現在でもおなじみの(rsh系はsshに置き換わったけど)内容が続いて、今読んでも十分役立ちそう。
新連載では「コマンド探検隊」というのがスタート。第1回はcsh (1) とのことで、そういえば昔はcshも結構使ったなあと懐かしく思った。最近はLinuxしか触らないからbashばっかりだもんね。
この頃の本誌にはコラムが多いのだけれども、この頃の主な話題はUNIXの標準化の話(OSF/1 vs SVR4とか)やNeXTの話(技術系の連載にも多い)、あとこれからのCPUはRISCだ、とかの話題。自分がPCに触り始めたのがちょうどこの頃なので、当時の空気感をちょっと思い出した。

ちょっと面白かったのが「ほろ酔いUNIX」という連載にあったこんな挿絵。

どのOSが生き残るのか、というオッズだと思うのだけれど、26年後の今の状況で答え合わせをすると、
・Windows NT
・NeXT(の子孫であるmacOSとiOS)
の2つかなあ。
あとはSVR4系のUNIXとSolarisは息も絶え絶え、そしてこれらを駆逐した、この当時は学生が作ったUNIXもどきのおもちゃでしかなかったLinuxが3つ目の勝者だろうか(そういう意味では「その他」だね)。

Software Design 1992年1月号

再開、と言いつつまた1ヶ月放置していたので、今度こそ本当に再開。
まずは再開以前にやっていたSoftware Designのバックナンバーレビューの続きをやることとする。

前回は1991年まで終わったあと、古い記事は飽きたとばかり2014年に飛んで終わっていた。よって再開するのは1992年1月号から。目標は1日1号。とりあえず手元には2017年12月号まであるので終了まではまだまだ先だが、週ベ60周年企画の創刊号から毎日1号レビュー(単純計算で年50号 x 60年 = 3,000回?)に比べたら全然たいしたことないしね。

というわけで1992年1月号。特集は「これでいいのか?UNIXの日本語環境」というもので、まだまだ混沌としていた文字コードと入力環境、そして各種アプリケーションの話だ。筆者は勘違いしていたのだが、EUCはShift-JISと並行して普及していたわけではなく、Shift-JISから移行していったのね。Unicodeは1.0がすでに前年に登場していたらしいが、CJKが取り込まれたのは1992年6月とのことなので、この記事では影も形も出てこない。

あと一般記事ではC++とオブジェクト指向言語の話が多めかな。当時もてはやされていたらしいオブジェクト指向言語のEiffelって、今はどうなっているんだろう。
その他に気になったのは、新連載「体験的Interface Builder入門」。このNeXTの開発環境が、OSX / iOSの開発環境として数年前まで使われるくらい長生きするとは。そもそものできが良かったってことかな。

なお、この号では丸山不二夫氏が2本記事を書いていたが、ちょうど今日丸山氏のセミナー(マルレク)に参加していたので個人的にはタイムリーだった。