アバウト・シュミット ★★★★★

定年退職した部長が第二の人生をがんばる話。
ジャック・ニコルソンというと「イージーライダー」「カッコー」あたりが有名なんだろうけど、どっちも見て無くて「シャイニング」の印象が強いつーか、やっぱあの斧でドアぶっ壊した隙間から「ひあーずじょに~~~!!」の顔しかないわけで、あのおっさんがこういうヒューマンドラマをやるってのはどういう感じになるんだろうと事前のわくわく感でかかった。
冒頭から感じたのはまずこの「部長」の「第二の人生」という設定が絶妙であるということだ。金をもっていないわけではないが思い切り贅沢ができるほどでもないし、かといって今まで背負ってきたプライド的に下に降りるわけにもいかんし、その葛藤が日頃からあってついに見ず知らずの貧しい子供、ンドゥグにぶちまけてしまう様がかわいらしい。ちょっと同情してしまいたくなるような所もあるかと思えば手のひら返したようにオチを付けたり、笑える映画ではある。
ただこれすごいせづねぇよ。特に自分の場合ダメ人間の自覚あるから、娘の結婚相手のような悪いダメ人間に接触せざるを得ない「自分は今までダメじゃなかった」感のあるシュミットおっさんという構図がもう、おかしすぎてせづなくていたたまれない。ただああいう最低な感じの結婚式というのは日々世界中のどこぞで行われているわけで、「あー自分も絶対シュミット側の人間だ」という精神的な世間との対立を痛感させられてしまうシーンが連発で、見ているうちに段々怖くなってくる。ゴーストワールドに続き”対ダメ人間推奨映画”。
ラストの表情は流石という感じ。斧もってうろうろするだけじゃなかったんだなあ。

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