キリング・フィールド ★★★★☆

ベトナム戦争に関連したカンボジア内戦に巻き込まれたアメリカ人記者とカンボジア人記者の話。

本作はクメール・ルージュの大虐殺と、アメリカがその原因を作ったにかかわらず放置した事、この2点を生々しく描くことで政治的なメッセージを表しているが、内容はディス・プランの物語である。欧米人ジャーナリストに囲まれて一人カンボジア人であり、時に疎外感を感じたり、また逆に仲間が出国のため奔走してくれる姿を見ていると、すんなり彼に感情移入していった。だからこそ、強制労働からの脱走~タイ脱出までの道のりは鬼気迫るものを感じ、また演出でもその流れを寸断することなく一気に見せた事が功を奏していた。

オリジナルの英語版ではどうなのかわからないが、カンボジア語に日本語字幕が表示されないのは結果的に良い効果だったと、見終わると感じる。見ている最中は「これはどんなことを言っているのだろう」と状況から推測し、時によくわからないままストーリーは進んでいくのだが、これが不安感や緊迫感を煽り映画全体を締めたように感じる。

内容やテーマはとても満足だが、音楽が良くない。記者達が病院からクメール・ルージュのアジトへ連行され、殺されるかどうかの瀬戸際にプランが命乞いをする一連のシーンにおける、なぜかやけに仰々しい音楽は全く場面と合ってなかったし、時代的にも「ランボー2」で聞いたような、「当時としては壮大だったんだろうなあ」と思うような安っぽいオーケストラ演奏も多く、とどめはラストのイマジンである。最初に書いたようにカンボジアにちょっかい出しながら、やばくなったらトンズラきめて放置したのはアメリカなのだが、それで「えんざーわーあああーうぃるびーあずわーん」はねえだろ。

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