特集は「SPARC & Solaris新たなる挑戦」。タイトルそのまま、SPARCのロードマップとSolaris 2.1の特集だ。今のSolarisにつながる歴史がここから始まったわけだ。

もう一つ、「NEXTSTEP for Intelの実力」という記事で、前号より引き続きNEXTSTEP for Intelの紹介を行っている。93年に入ってからの各号ではNeXT社がハード売りを縮小させてOSベンダーへと進んでいく様子が歓迎・落胆双方の感想で各ライターがまとめている。今となってはこの方針転換が大成功だったわけだが。

前号から引き続きPC UNIXのPANIXが紹介されている。これ、日本のエー・アイ・ソフト(エプソンの子会社、その後本体に吸収)からPC-98シリーズ用にリリースされていたUNIXだったようで、今は影も形もないのが残念。

冒頭にOSの新バージョン紹介記事。NEXTSTEP 3.1J for IntelとSolaris2.1 for x86。というわけでIBM PC-AT互換機への商用UNIX移植が盛んになり始めたことが伺える。

特集は「あなたのUNIXシステム見せてください」。自宅にワークステーションを買ってきてしまうツワモノやPC-UNIXを導入している著者たちの記事だ。京大マイコンクラブの386BSDを入れたという記事で、導入したマシンがPC-9801NS/Eだったのがすごく懐かしい。

単発記事で気になったのが「i860ボードを用いた超高速数値計算」。ベクトル演算とパラレル処理が可能なi860をPC-98の拡張ボードとなっており、これを使うと当時のスーパーコンピュータを凌駕する演算性能が得られる、というものだ。今のGPGPUのトレンドと同じで、これまた興味深い。

特集は「UNIXのフリーソフトを使いたい!」。今使うと怒られてしまいそうなタイトルだ(フリーソフトとフリーソフトウェアは違う!って)。まあ当時のDOS系のフリーソフトと違ってシステムの根幹に関わるソフトウェアがフリーというのは、UNIX文化に初めて触れた人にはインパクト大だったのではないか。

ただ、自分が気になったのはこの特集のコラムにあった「日本初の商用インターネットサービス IIJとは?」という記事。以前IIJ創業者の鈴木さんが書いた「日本インターネット書紀」を読んだので、この記事の末尾にある「(株)インターネットイニシアティブ企画」という社名や住所の「千代田区永田町2-11-2 星ガ岡ビル」という記載が感慨深い。ああこれが解体寸前のビルに間借りしたところだったのか(今はNTTドコモの本社が入っている山王パークタワーが建っている)。

特集は「TeXではじめるUNIXの文書処理」。TeXはきれいな組版がしたくてちょっとだけ解説書を読んだけど、そのまま触りもせずに挫折した経験がある。だってたかが(あえて書く)文書作成のために手順が面倒なんだもん。今はほとんど聞かないけど(自分がTeXを使うような文化のところにいなかったこともあるけど)、今だとどれくらい使われているんだろうか。

一般記事で、この年の春に開学した会津大学について紹介されている。記事だと「将来は社会学系の学部増設の予定があるらしい」とあったが、2018年の今でもコンピュータサイエンスの単科大学でがんばっている。素晴らしい。

今号が最終回の「米国ワークステーション&UNIX事情最前線」で、Solaris上でWindowsマシンが動くWabiというプロダクトが話題となっている。お、後のWineかな?と思って調べたけど、影響は受けたけど直接の祖先ではないみたい。

特集は「UUCPメール&ネットワーク自由自在」。そういえばインターネット普及期にe-mailの使い方記事が巷にあふれていた記憶があるけど、この記事はそれより5年以上前で、e-mailを使ったことがある人はほんの一握りだったはず。

ネットワーク関連の他の記事では、取り上げられているのがtelnetやr系のコマンド(rlogin, rcp)といったセキュリティ的に今は殆ど使われないものからNFSのような今でも重要なものまで。

特別企画「最新!日本語環境にチャレンジ」では、先日の記事で取り上げられないのが不思議と書いたcannaが特集されていた。X11R5のcontribから一般に提供されたそうな(それまではNEC性のワークステーションにのみ付属)。

展示会のレポート記事が出ているが、展示会タイトルが「DOWNSIZING JAPAN ’93」。ダウンサイジングという単語、子供の頃によく聞いたなあ。

特集は「ルーキーに贈る!UNIXプログラマ入門」。今でもよく見る新人社会人向けの記事の走りと言っていいのかな?ツールがC、環境がX-Windowというところが歴史を感じるが、マルチタスクの基礎とかは今でも身につけるべき知識かな。

特別企画として「PC UNIXの現在 ’93春」という特集もある。386BSD、Linux、UnixWare、BSD/386、MachTen2.1がそれぞれ取り上げられている。以前の特集よりもLinuxがフィーチャーされ始めた感じがする。90年代後半のLinuxブームまでの記事の扱いについてはこれからも注目したいところ。あと個人的に気になったのは京大マイコンクラブ訪問の記事。当時X68000ユーザーの高校生だった筆者からするとあこがれの場所だった。今はどうなっているんだろう。

特集は「そのまま使えるperl実例集」。初期のWebでcgiを使うときにちょろっと使ったきり、全然使った記憶が無いけど。perl使いはUNIXできる人というイメージは今も変わらないなあ。

連載の「コマンド調査隊」、本号のテーマはgrep。こういうプリミティブなコマンドの情報は昔も今も変わらないので、今でも役に立ちそう。

特集は「どうする?UNIXの日本語環境」。数年後の日本でのPC-UNIXブームのときに筆者も遭遇した、文字コードも日本語入力の環境もてんでんばらばらの状況は当時から変わらなかったんだね。

日本語入力システムとしてWnnとSKKが取り上げられている。Wnn、懐かしいなあ。なお、Cannaはなぜかない。以前の号では取り上げられていた気がするけど。

 

特集は「UNIX + Macintosh ネットワーキング」。UNIXである今のmacOSとは異なり、当時のMacはUNIXともPC世界(当時は主にMS-DOS)とも異なる独自の世界だった(特にファイルフォーマット)。でもネットワーク環境は整っていたのでこのような特集が組まれたようだ。

NeXTSTEP 3.0がでたそうな。そこでちょっと引っかかったのがInterface Builderの変更点。3.0からProject Builderが登場したとのこと。というか、Project Builderのほうがあとだったんだね。

「重点企画Let’s Begin OOP」。OOPの特集だけど、扱っている言語はC++。今だともっとふさわしそうな言語があるような気がする。そういえばまだJavaは登場前なんだね。この号から「反C++論」の連載がスタート。

1993年最初の特集は「PC UNIXの現在(いま)」。Intel x86ベースで動くUNIX系OSの特集だ。取り上げられているのは以下の通り。

  • ESIX
  • SCO OpenDesktop
  • SVR4.2 JE
  • Mach386
  • PANIX
  • BSD/386
  • MachTen
  • 386BSD
  • 386BSD(PC-9801版)
  • Linux
  • Solaris for X86

もちろん注目はLinuxだろう。SD誌で本格的に取り上げられたのはこの号が初めて。とは言っても他のOSと比較して非常にあっさりとした記述となっており、まだまだLinuxブームとまでは行っていなかった模様。ただ記述によると、当時からすでに比較的安定して動作していたそうで、そのあたりが今に至るまで生き残った理由なのかも。