TAMA CINEMA FORUM

ここのところ、平日は仕事に追われ、休日はbitchとだらだら過ごすと言うパターンが定着している。先々週はアマラオを見に、先週はバカ映画を見に、と言った感じ。

TAMA CINEMA FORUMという映画祭が毎年秋に多摩市で開かれる。このサイトを見ている人は当然知っていることと思うが、俺は全然知らなかった。で、会社の後輩がなぜかこの映画祭の実行委員をやっており、お友達価格でチケットを売ってくれるというので、せっかくだからbitchを誘って見に行くことにした。

後輩が推薦してくれたプログラムがこれ。なんというか、B級映画もいいところだが、これが3本立てで1,000円ちょっとで見られるというのもめったにないことなので、期待半分、冷やかし半分で見に行った。以下はその感想。ちなみに俺はbitchのように映画を(ビデオででも)普段見ることはほとんどないので、気の利いたことは書けないことを了解して欲しい。

・地獄甲子園

漫☆画太郎原作の漫画の実写映画化。評価が高くなかったのは知っていたので、期待せずに見る。案の定、ギャグらしきものは滑りまくっていたが、話の内容には意外と引き込まれる(多分、俺が単純なだけかも)。終わった後の感想。「これって結構いい話じゃない?」と言うわけで、俺の中での「地獄甲子園」は感動巨編ということに決定。

ちなみに、おれたちの後ろで見ていた学生もしくはフリーターとおぼしき二人組は、劇内のギャグを絶賛し、会場内に笑いがあまり起きなかったことをしきりに不思議がっていた。彼らは幸せ者だ。しかし、フォローとして、俺も蛭子さんがスクリーン上でどアップになったときは吹き出しかけたことを付け加えておく。

・ドカベン

77年製作、水島漫画の驚異の実写版。「コミックス第1巻からなぞっているから柔道ばっかりやっていてほとんど野球シーンは出ない」という話はあまりにも有名。しかし俺はドカベン世代でもないし(この映画が制作された年の生まれ)、コミックスは2巻しか読んでないので、俺の中ではドカベンは柔道漫画。

さてこの映画、山田太郎が朴訥とし過ぎ、岩鬼が葉っぱを加えたまましゃべるため、わざわざアフレコしている、マッハ文朱がアレ、等々見どころ満載だが、全体を見ると、基本線としては青春スポーツコメディ。山田太郎が「気は優しくて力持ち」の権化のような存在で、ものすごく分かりやすいいい話になっている。そう、終了10分前までは。

最終場面で、いろいろあって山田太郎は野球部に入ることになるのだが、ここで新任の野球部監督として出てくるのが御大、水島新司(本人)。これが、どこからどう見てもその辺の居酒屋から抜け出してきた酔っ払いとしか言い様のない風体で、そいつが山田太郎を始めとする登場人物にひたすらノックして終わり、という強引な終え方。うーん、どう見ても続編を作りたかったような終え方なんだが、多分なかったんだろうな。

あと、この映画のもう一つの特徴としては、タイアップが死ぬほど露骨だということ。とにかく登場人物がコカコーラを飲みまくり。スポーツ選手でもがぶ飲み。決闘シーンも特大のコカコーラの看板の前。古きよき時代に思わず思いをはせてしまいましたとさ。

・野球狂の詩

ここまで3時間あまり観て、野球シーンが合計15分くらい。素晴らしき「野球狂伝説」だ、と思っていたが、最後の野球狂の詩ではやっとちゃんと野球をやる野球映画となっていた。

この野球狂の詩、自分はコミックスをだいたい読んでいるのだが、個人的には水原勇気が出てくる前の、わき役キャラクター一人ひとりに焦点を当てた一話完結形式の時の方が好きだった。というわけで、水原勇気編はあまり好きではないのだが、水原役の木之内みどりが結構好みだったので、彼女の入浴シーンがあっただけでOK。あと、岩田鉄五郎が投げるときに発する「にょほほーん」と言う声を実際に俳優がやると、とっても間抜けだということがわかった。

さて、この映画の最大の山場(個人的に)である、水原と野村克也(本人)との対決シーン。このときに、やっぱり出てくるんですよ、御大が。

オープニングのスタッフロールの中に、「メッツファン」(主人公のチーム名は東京メッツ)と言う役で入っていたので、どんな場面で出てくるのか楽しみにしていたのだが、登場の仕方がまたすごい。「ファン」と言う役どころのはずなのに、なぜか水原や岩田に会いに普通にベンチまで来る。二人も二人で、「水島先生」と先生付けで呼ぶ。しかもなんのフォローもなしで。この辺、後年「ドカベン・プロ野球編」などで見られるマスターベーション的臭いをすでに感じ取れてしまう。

というわけで、水島作品の一番の見どころは「水島新司がいつどのように出てくるか」ということに尽きることがわかった。っていうかストーリーはベタなので忘れても構わない。後で漫画を読めばいいし。

ちなみにこの映画もドカベン同様、ラストシーンの尻切れトンボっぷりはすごいものがあり(ある意味ドカベン以上)、ここでは書かないが(面倒だから)、「え、そこで終わり?」と思わず言ってしまうこと請け合い(原作もそんな終わり方だったっけ?)。

最後に、野球マニア的な補足をしておくと、この映画が制作された77年(映画での設定は76年ドラフトから77年開幕まで)、オフに「南海ホークス・野村克也選手」役で出ていた、南海ホークス・野村克也選手兼監督は愛人問題がもとで南海を追い出されることになる。ちなみにこのときの愛人が野村沙知代。もう一つ、この映画の重要な設定である、「野球協約上、女性はプロ野球選手になれない」という条項だが、この項目は平成に入ってから削除され、現在は理論上女性のプロ野球選手が誕生することは可能だ。もちろんまだ誕生したことはないが。

以上。最後に10分の短編(漫☆画太郎原作で地獄甲子園の監督が監督の作品)があったがそれは省略。一言で感想を書くと、「三本立て(それもすべてB級映画)は疲れる」。しかし、見終わってしばらくしてから思い返すと、いろいろな発見があってじわじわと楽しくなってくる。来年もこの映画祭に行くかもしれないな。

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