犬神家の一族 ★★★☆☆

犬神家の遺産相続問題に巻き込まれた私立探偵金田一が案外都合良く問題を解決していく話。
生まれる前だから詳しくは知らんが、この映画が作られた頃「横溝正史ブーム」てのがあったというのを聞いたことがある。「俺様はちこっとできる人間だ」的な主張を暗に示すためのツールとして用いられたらしいが、この後にも田中康雄のなんとなく滝川クリステルみたいな今思えばイタいブームがあったし、文学はちょいちょい時流の流れでダシに使われることがあるようだ。
でこのサスペンスという形式を取る場合は、そこに矛盾はもちろん少しの理不尽もいい加減な部分も見えてしまうと途端に興醒めしてしまうというリスクを抱えている。もちろんそのリターンとして、とりあえずなんか適当にぶっ殺し続けておけば、謎も深まるしテンションも維持できるので核が定めやすいという点でこのリスクはある意味当たり前だ。だからオチの部分のトリックをとうとうと語る部分には少しの隙もない方がベストだし、本来すべてのサスペンスはそうあるべきだが、とりえあずテンションで引っ張り続けてきた結果「あーもうめんどくせえから最後もテンションで押し切ってみっか」という思考が働くかどうかはわからんが、少なくともこの映画ではそう思えたのは、仮にも過去にブームがありまた現代でもおろそかでない角川ー横溝映画に見られるのは残念だ。
あら探しは嫌いだからメチャクチャ目立った所一つだけ。これ見よがしにババアがタバコ吸ってて、それまでの話があって、当然そういう結果になったときに棒読み気味の「あーしまった」はねえだろおまえ。
ただ話の作りとして、一見どうでもいい部類に入りそうな旅館の女中をかなりこだわりの視点で描いていたのはおもしろいと思った。無駄にフラッシュバックみたいのあったり。

アーウーオジャママン

「6000人がデモに参加したら辞めるかも」とつい発言してしまったことで、そのデモが実際動き出している模様。この前の数十人規模のデモでさえ結構影響したんだから、これが実現するとマジで解任あるかもしれない。もっとも俺はそういう行動を客観的に傍観するほど代表に対して達観してはいるのだが・・。

しかしこの前の対シンガポール戦はひどかった。まず一つにフィジカル面の問題。ただこれはワールドワイドに問題になっていることで、高騰した給料を支払うため選手を使い回す結果、一試合ごとのクオリティは自ずから落ちる、というのはもはや自明。同じく予選を行った南米でも、ブラジルがしょっぱく0-0で引き分けたし(ただこっちは開始直後停電という、南米らしいおもしろハプニングがあったのでよし)、ウルグアイはホームでベネズエラに0-3の完敗と、確かに個人レベルのコンディションが上がってこないというのは一つあると思う。

次にやっかいな問題が、試合後キャプテンnakata.net師匠も指摘していたメンタルの問題だ。フィニッシュまでの形は作れるが肝心のフィニッシュでつまずき自滅してしまう、そういう時打開する最良の機会であるセットプレイも、腐った左足にまかせてノーチャンスのテンションどんずまりキックをかまされ、はっきりいってこの期に及んでチームになっていない。

敢えてメンタル面を追求するなら、いわゆる闘将がいないってのが、こういう問題が起きたときにうまく対処できずズルズルひきずっている理由の一つだろう。トルシエ時代も確かにいなかったが、実際トルシエ自体が闘将だったから問題なし、そのチームをある程度引き継いだ白いペレは「自由奔放にやったらんさい」と言っては傍観するばかり、ついに気持ちの面での核ができなかった。師匠はそのプレイで積み上げてきた現在のキャプテンというポジションにいるだけで、キャプテンシー故のものではないことは彼の性格を推し量れば容易にわかることだ。

いやプレーさえうまくいけば本来こういうものは必要とされない。レアルマドリーを見てみるといい、ケイロスは完全な傀儡でも、フィールド上の中心はジダンだけではないだろう。それぞれが高いレベルで「勝手にやってる」から最高の攻撃が機能している。逆に好対照がチェルシーだ。彼らもまた闘将を自ら生み出すことが出来なかった。

幸い視聴環境という点でオプションが増えたもんで、「おもしろいか否か」で価値を判断する傾向に現在はある。だから自国の代表がどうなろうと、たとえ一次予選でさっさと消えようと全く問題はない。たぶんこれが一周するかどうかはわからんが、ある程度突き詰めてからまた自国の代表そのものに関心が出てくるのかもしれない。いや・・・俺だしな・・・。その辺は超絶にドライだ。