人狼 ★★★★☆

戦後、独立主権の回復した日本では、国内で反政府系組織と国家治安部隊との抗争が続いていた。治安部隊の中でも武力特務隊である特機隊の構成員、伏はテロリストの検挙に躊躇し挙げ句に爆死させてしまう。なぜ伏は撃てなかったのか?そして彼の周り、公安と特機隊には政治的な思惑が巡っていたのだった。
まずアニメのくせに見やすい。これはどういうことかというと、アニメでは口の動きや、体の動きや、風景の流れや、そういう実写ムービーではあり得ない部分で気がかりになる点がどうしてもでてくる。しかもアニメで所謂”アニメっぽい”映像でないものを作ろうとすればするほどそういう細かい点の煩わしさのようなものはいっそう目立ってきて、なんとなく見た後すっきりしないことが多かった。
しかしこの作品はそういう細部がかなり作られている。会話は少ない方なんだが、そのアニメーションのタイミングとか、銃の銃具合とか、ガンアクションのガンアクション具合とか、細かいくせにかなり大事な細部について親切な感じがする。だから見やすい。
ストーリーのポイントとしてある童話が用いられるのだが、その童話と話の重なり様、また離れ様など抽象的ではあれ、見ていて引き込まれる。彼がその童話のどのポジションなのか、また彼女は、これはクライマックスにかけて入れ替わったような感じになるんだがその効果がおもしろい。
はじめ彼は撃てなかった。しかし。互いに組織に生きる者として、殉ずる者として、ああいう締め方は好きだ。「そして彼は狼になった・・・。」か。えへへ。

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