双生児~GEMINI~ ★★★★☆

軍医として戦地で活躍した雪雄は、故郷に帰り医者として人々から信頼される存在である。帰郷の折に出会った妻おりんを実家に連れてきてから、雪雄はこの家に何者かの存在を感じる。具現化された光と影、それが解け合い入り交じる様を描いているのだが、じりじりわき出る恐怖感が痛い。
雪雄が井戸に放り投げられてから、捨吉が雪雄になりすました時から、お互いの存在の入れ替わりのようなものは始まっていたんである。自分の同胞が貧民窟で生きてきたと言うこと、また今の自分がその捨吉の手にゆだねられている、雪雄は捨吉に激しい憎悪を感じてしまう。また捨吉はおりんとの関係から、だんだん悪で無くなっていき、ついには雪雄の手にゆだねられる。そして足のあざは消え去り、多分雪雄に乗り移ったのだろう、最後は雪雄が貧民窟に消えてゆくのである。
見所は井戸でのやり取り。光と影をうまく演じわけ、またその融合具合も見事だと思う。雪雄が雪雄でなくなり、捨吉が捨吉でなくなる。これを映像に納めるのに、なんだか芸術チックなものを感じた。

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