バトル・ロワイアル ★★★★☆

未成年者の退廃がもたらしたとされている、大人が抱く子供への恐怖心や社会情勢の不安に対して、国家的な実験が行われる。少年少女が殺し合いを行うことを目的としたBR法。少年七原くん曰く、「なんでそんな簡単に殺し合うんだよ」
まずこれは間違いなく土曜ワイド劇場とかに登場しません。R-15というのは置いといても、学生が拳銃を撃ちまくり刃物で首を切り裂く、血がブシャアアアア、その殺しの描写というのがもの凄い。派手とかそんなんではなくエグい。ヤンエグ。
彼らのオーバーアクションが、こういうわけのわからぬ殺し合いの状況に置かれているということで逆に真に迫り、たまに引いてしまうこともあるけれども、総じてこのオーバーアクションが成功してる。それはただワーワーキャーキャー鬼のブギウギだけではなく、今際の際の「愛してるぜベイビー」的な臭さも全然ゴリ押せてしまうほどもの凄いハイテンションなノリだ。
ハイテンションってすごい。なんでもありになってしまうとこがいい。結局は主人公チーム(あの3人ね)の視点になるんだが、それまで数々の権謀術数、それは相当ショボいのだけどもそこはテンションで押し切る。逆に言えば極端なハイテンション野郎の、ファンデーション使ってない女とか、安藤政信のようなマーダーペニセストはかなりいい。彼らがいてくれてこの映画がある。ペニセスト同士の決戦はなかなかだった。
この前提の下においしいのがやはり主人公チームだ。最後は「やっぱ友情だよな」で締めくくるのがいい。こんだけ殺しといてそうもいかんだろうとは思わない。これはキン肉マン的友情に近い。戦い、戦い抜いた末にたどり着いた場所、それが友情だ!いや、「ゆうじょう」だ。ひらがなだ。
殺し描写が突出してた。深作欣二してた。つまり、やっぱ人は人を殺しちゃいかんよなと正直思う。間違ってもこれ見て「よし、ぶっ殺すぞ!」と意気込めるのはテロリストだ。銃を取れというメッセージはぶっ殺せと言ってるのじゃない。闘えと言ってるんだろう。主な登場人物は、いやもうキタノでさえも少なくともなにかと闘っている。表面的なブシャアアアアで一般的にはNGだけども、今と闘え!というメッセージはビンビンに感じた。それこそ「ガンバレ秋也」である。
ただこれはテンションでは無理だろうよおっかさんと思えるシーンが、特にテンションという武器をなくしたラストはどうもグダグダ気味、さらにこれはどうしても話に没頭できなかったことが、あのパソコン少年が活躍するシーンと、うさんくさいクラッキングの有様、あれなんかもっとこういい感じにならんものかね。

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