日本の黒い夏 冤罪 ★★★★☆

1994年長野の松本で起きたサリン事件。そして当時その容疑者として警察やマスコミに報道された神谷。事件の数ヶ月後真実が明らかとなり、神谷の容疑が晴れる。そのでっち上げられた冤罪事件に興味を持った高校生とテレビクルーの対決。
いわゆる報道・マスコミと言われる部分の非常に嫌な部分、平たくいうところの世論操作・人権無視・馴れ合い体質などが一気に表出した象徴的な「事件」、松本サリン事件をテーマにした映画である。テーマがかなり強力であるだけに、見せたいものが明確で無駄な部分はあまりない。
ただ映画の方法としてはかなり無駄になっている。その最たるが良心の固まりですとも言わんばかりの高校生女。先に挙げたマスコミの愚行を批判的にするために、この馬鹿たれ女が心情を爆発させている。もちろんこの事件ではマスコミや警察側が間違っているのは明らかであるけれども、それをこの映画の中でぶちまけるのはどうもしっくりこない。つまり、一方的な報道や行動を行ったマスコミや警察がどうであるかということをを、少なくともこの映画では見る側に選択を任せるのではなく、あのクソ女を使って一方に否定を押しつけようという凄く皮肉なことが起こっている。
内容はすごくいいと思う。見ている自分自身、事件当時それほど関心のなかったことに妙に興味がでてきて見終わった後でいろいろ調べてみた。一連のサリン事件から6年くらいたった今では、当時地下鉄サリン事件に実際遭遇した人の書いた文章や、それこそ本作の中心である神谷こと河野義行さんのインタビューなどを見つけた。映画を見た後河野さんのインタビューを読むと本作が河野さんが実際に受けたことを忠実に描いていることがわかる。
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/akihisa/humanrigh3masukomi.htmこちらにあります。
で改めて感じるのがマスコミと呼ばれるものの存在意義だ。彼らのやるべきは事実を正確に伝えることだと感じる。しかしまぁ一方的に押しつけがましいことを書くマスコミとかいうものの多いこと。大体よくある朝日=左翼とかそういう論調のようなものがあること自体ちょっとおかしい。そんな論調なぞ意地を張らずに、事実を元にして正確に報道する、意見は専門家に任せる、これが本来のありかただろう。特に河野さんのインタビューでもある、週刊誌の類はほんとあきれる。あんなクソが未だに存在してるのがよくわからんし、歯医者や美容院はあんなのを購読せずに、もっとこう、なんだろうなぁ、漫サンでも買っておけばいいんじゃない。

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