ショコラ ★★★★★

フランスの片田舎の街に二人の親子がやってきてチョコレート屋さんを開いた。それを快く思わない村長と彼女らの対決!
話の流れはヒューマン映画にたびたび見られるような、旧態依然の秩序の下で暮らしている人々の所に、ある日突然新参者がやってきて、最初は周りの人々もついていけなかったけれども次第にその人に惹かれてついには再秩序化されてしまうという、ヒューマンドラマの王道的作品です。創造的破壊ってやつ。
でこういうシュンペーター系ヒューマンドラマの場合よくあるのが、その創造的破壊者があまりに突拍子も無い奴であるとか、いちいちちょっかい出したりやけに陽気であったり、そりゃもう「破壊するぜワシは」というオーラパワーがビンビンに出てるという設定が多いのだけども、こういうのは見ていて逆に引いてしまうものです。というか、実際にそんなのありえんやろうがとなる。一つ例を挙げるならば、最近見た中ではそうだな、今思いついたのでライフ・イズ・ビューティフルとかです。あれなんかまさしく。
しかし本作では、破壊者が秩序をぶっ壊すというよりも、秩序の方が破壊されるのを恐れてあれこれ行動するという描かれ方であるから、チョコレート屋の女将に人々が惹かれていく様というのも自然であるし、見ていて純粋にとても楽しかった。
そして最後にがっつり語られてしまったのだが、本作がヒューマンドラマという体裁を借りて古くから存在し今でもありうるという普遍的な観念をテーマにしているというのが、おもしろく魅せる決め手となっているように思われる。それは前に書いた異質なものを受け入れるということ。物理的にではなく、再秩序化するための破壊。これは現代社会でもいろんなとこで、政治にも当てはまるであろうし、官僚組織なんかにもあてはまること。
まあたまたまこういう風に感じてしまったので、難しいような話になってしまったが、別になんも考えずダラーっと見るにも入り込めるようないい映画だと思います。

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