マルホランド・ドライブ ★★★★☆

自動車事故で記憶喪失になった女が、自分は誰かを捜していくうちにぐにゃあ~となる話。
これはまだストーリーというものが一応あるだけましなんだろう。なんつったってイレイザーヘッドの監督だから。そういう意味ではなんでもありなわけよ。特典映像のインタビューでも語っていたが、直観で見て楽しむというのをまず基本とする方がいいみたい。
とはいえこれだけ謎怪な映像がふんだんに盛り込まれていると、どうしても解明したくなり考え込んでしまうのもまた真。記憶喪失からの顛末はもうひとつの理想を追った女の儚く悲しい幻想物語で、箱を開けた瞬間から過去にあった事実(ダイアンの背徳な失恋物語)が描かれている。
こう見ると、幻想でのベティとリタの真実追究物語(箱を開けるまで)は、同じ価値観を共有するという恋愛物語として語られていて、リアルワールドでのダイアン(通称ベティ)の愛情が一方通行で、断崖から突き落とされ加減が最後の「ちっちゃい老人ウワー」へと行き着くというのもまたアリ。となると、リアルで接点持った人達を、マンションの管理人だったり映画監督だったり(これはそのままか)カウボーイだったり(これは不明)に割り当てるのも、すべてダイアンの脳内さじ加減一つということか。
ただこれじゃあ全く理解したとは言い難い。こういう本筋とは別の、例えば無駄に3人殺してしまうやつとか、カウボーイとか、末節の部分には及ばないことだから。で結局すべてひっくるめて感じてしまえという話になってしまうんだなあ。
冒頭の奇妙なダンス映像→笑う老人のフラッシュバックですでに足は浸っている。オーディションで、またクライマックス(俺はここだと思った)の歌舞場での独唱で見せられた歌のシーン。どうしてもあれ、ふたこぶ女に見えてぐにゃあ~となってしまうのはリンチワールドに入っていってしまってるからなんでしょうかね。

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