ボウリング・フォー・コロンバイン ★★★★☆

アメリカ・コロンバイン校で起こった、生徒による銃乱射事件を題材にしたドキュメント映画。
話の持って行き方がかなり強引なのと、これは一応アメリカ銃社会のおかしなところを探っていくというドキュメンタリーであることから、インタビューや映像の切り口も必然的にそういう寄り方になってしまうという前提の元に、これがアメリカの全てではなく話半分で見る必要があると思う。一つ論調を定めないとエンタテイメントとしてまとまらないというのはしょうがない部分だ。
ただそういう客観的な視点に立つというのをベースとしても、最も客観的である統計を見て確かにおかしいなと感じてしまう。まずアメリカと日本を比べると人口が約3億:約1億3千に対して年間の銃による被害者が約11,000:約40。これは単純に、社会における銃の普及率と直接的に関係していると思う。要するに、あいつぶっ殺したいと思っても日本では手元に銃がないからあまり手軽ではなく、別の手段を用いたり断念したりすると言うことだ。
ただし、その後語られるように銃の普及率がアメリカとカナダではほとんど変わらないのに、人口が約3億:約3千万に対して年間の銃による被害者が約11,000:約200。人口比が10分の一だとしても驚異的に少ないことから、アメリカで銃犯罪が多いのは銃がたくさんあることが一番大きな理由であろうが、それだけではない何か背景があると考えられる。
簡単に銃が購入できるという異常さ、マリリンマンソン、NRA、アメリカの歴史、偏向的なメディアなどマイケルムーアは色々な理由を出しているが、これ自体は先進国なら少なからずあるような、社会が煮詰まった状態での汚物を論ってるだけで、それがアメリカだとどうしても銃と絡んでしまうという話だ。結局そこはワイドショーとあまり変わらない、ジャーナリスティックな視点で問題点を列挙しているだけで、根本的な解決にはならない。最後の方にムーア自身が行動する部分もあるが、なんかいいわけがましい感じがする。
とはいえ社会問題に対して考えを想起させるようなインパクトのあるドキュメンタリーを作ったというのと、ポーズとはいえそういう問題に対して自ら行動し、結果的にKマートの弾丸規制に大いに貢献した姿勢はすごいと思うし、説得力はある。一度銃というものが認められた以上今後も無くならないとは思うが、それに対し問題提起していくのはいいと思う。

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