People are strange

スパルタ・プラハ 0 – 0 ACミラン

好きなチームはアーセナルだが、こういうヨーロッパのトップコンペティションでいい試合(おもしろい試合とは別)をするのは案外イタリアの強豪チームだったりする。つまりホームとアウェイで、あるいはスコア上のアドバンテージ・ビハインドで全く戦い方を変えてくるので、単純にチームのポテンシャル比べではなく、「背景を伴った一つの試合」を見た場合の印象はかなり違ってくる。さらにこれに加えて強者VS弱者の組み合わせになるとより顕著に現れるものだ。てことでこのROUND16では、当然勝つであろうアーセナル – セルタよりも気になる試合がこのスパルタプラハ-ミラン戦だった。

第一戦目はスパルタ・プラハのホーム、こうなると弱者側とは言え点を取りにくるプラハに対し、ミランがどう受けるのかがまず見るべき所だった。プラハは圧倒的弱者とは言えず、まがりなりにもROUND16進出チーム、戦う武器は持っている。右サイドのゲームメーカー・ポボルスキーを中心に、これにザレンカとトップが絡む攻撃がグループリーグでも印象的だった。

前半スパルタ・プラハはボールを奪うとまずトップに当てて、そこからの変化でとりあえずなんとかしてみる(中盤がこぼれ球を拾えたらもうけものぐらいの感じで)ダイレクトプレーを主体に、非常に明快な攻撃を繰り返す。極端な話100回同じ事をやってそのうち1回相手がミスれば、それをチャンスに出来る自信ぐらいはあったのだろう、こういう単純な決まり事をチーム一丸でやるというのが弱者の取る方法として有効だと思う。これに対しミランはその一回のミスもありえないほど、CBマルディーニとコスタクルタの跳ね返しは安定していた。加えて前半は両SBがほとんどあがらずディフェンスに専念していたようで、このロングボールに対して隙はなかった。ただ、その跳ね返りをうまくザレンカあたりが拾ってくると面白い展開になる雰囲気はあった。

後半は逆にミランの一方的な展開になる。もともとアヤックスばりの速いパスを主体とする、イタリアの中でもイタリアらしくない試合展開を好むミランだし、それを可能にするメンバーだがこの試合ではカフーとガットゥーゾのキレがよく、強力な攻撃を見せたが結局スコアレスドローで決着、次回ミランホームの試合に勝敗は委ねられた。

解説の宮内氏もかなり指摘してたがプラハのディフェンスラインがどの程度の位置取りをキープできるかで試合の流れは大きく変わった。前半のようにより高い位置をキープし、ゴールキーパーも含めたディフェンスができる時は、ボールが両チームを動き回る密度の濃い試合、一方後半押し込まれた場面ではオフサイドトラップを仕掛ける場面が多かったように、守備の方法が違ってくる。次回ミランホームではこういう展開がずっと続くのだろうが、ここでカウンター一発決まればどう転ぶかはわからない。またその一発を決めれるぐらいのゴール前までのボール運びと、チャレンジは可能であることはこの試合で見ることが出来た。UCLを知り尽くしたミランと、そういうミランに対応した戦い方を考えてきたプラハの「チームではなく試合を見る試合」を感じさせたいいゲームだった。

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