ドイツ 0 – 2 イタリア

アルゼンチンを破り優勝も狙えるチームになってきたドイツと、ユベントス・ペソット問題や主力の怪我など多くのトラブルを抱えつつも勝ち上がってきたイタリアの準決勝-1。
見る前は、ドイツホーム(しかもベストファーレン)ということで、またもやイタリアはオーストラリア戦のような省エネ疲労待ち「カテナチオ」になり果ててしまうのだろうかとすごく不安だったのだが、いい意味でその危惧を裏切ってくれた事にまず感謝。いや、イタリアだからこそ圧倒的ホームチームの優勢試合であっても、ドン引きカウンター狙いで凌いでいけると思っていたので、このリッピの方針選択が意外でもあり結果的には非常に緊迫感のある名勝負になったと思う。
前に対オーストラリア戦のような戦い方をやっちゃうからイタリアサッカーが嫌いだと書いたが、それは今でもかわらない。攻撃的な戦い方もできる面子が揃っているのに敢えて守備的に戦ったりして、それが勝利至上主義的観点からして「OK」だからだ。しかも相手がオーストラリアという、個々のレベルからすると明らかに劣っているチームに対してそういう事をやっちゃうもんだからムカついてくる。
ドン引きカウンターは、守備の壁が厚いため得点される機会も減少する反面、カウンターに割ける人数も限られるため得点機会も減少する。結果見る側としては非常につまらない展開になってしまう。その点この試合ではサイドバックのグロッソ・ザンブロッタもガツガツ攻撃参加してたし、サイドのペロッタ・カモラネージも2列目から飛び出したりピルロ・トッティのパスを受けたりして、かなり攻撃的にやってくれていた。こうなると当然守備の枚数が自然減したり、サイドバックの裏スペースがぽっかり空いたりするもんなんだけど、守備VS攻撃の駆け引きの醍醐味ってそういう限られた中でこそ面白味が出てくるものだ。実際カンナバーロの守備者としての優秀さが際立っていたのは、クローゼ・ポドルスキーとの1VS1でまず負けなかったからだろう。例えば30分頃のシュナイダーのシュート、50分頃のクローゼ・グロッソのシュートシーンなど、得点が入ってもおかしくないシーンは結構あったし、結果的に0-0で長いこと進行したが、互いに攻撃意識が高く、それを安定した守備組織が阻止するという、非常に面白いゲームだった。
ただ前半から高いテンションでお互いに攻め合い、同時にきつい守備を展開していたので、65分頃から動きが鈍り全体が間延びして大味な雰囲気になったのは仕方のない部分だろう。90分間テンション高いままというのは滅多に見ないし、リーグ戦やカップ戦でも70分ぐらいを境に、それまでテンション高ければ最後まで流した感じになるか、ラスト5分にあと一盛り上がりある感じになり、それまで平坦であれば70分から急に試合が動き出す(こっちの方が見た後の印象は良くなる傾向)。
結局イタリアがオーストラリア戦と同じようにラスト2分ぐらいで試合を決めてしまったんだが、それとは全く性質が異なる得点だ。オーストラリア戦では相手の攻め酔い・自身の守り慣れという展開から間隙を縫って出し抜くような、ある意味「セコい」得点だった(PKに値するファウルだったかという議論もあるが、レフェリーが吹いた以上それは全く問題ではない)が、今回は相手の圧倒的ホームゲームにもかかわらず、最後までポゼッション優勢を維持し、リッピもイアクインタ・ジラルディーノ・デルピエロといった攻撃の駒を投入し続けたことによる運の引き寄せ、勝ちに値する試合展開だったし、ゲーム自体も非常にいい内容だった。
ドイツに関しては、前のアルゼンチン戦後の乱闘騒ぎで不幸にもフリングスのぶん殴りが発覚し、出場停止になったのは結構影響したように感じる。フリングスなら前につないだのに、とかフリングスならミドルシュート(結構精度良いやつ)撃ってるのに、といったシーンでケールは横パスで回したり、自分でキープしてしまったりと、明らかに「ディフェンシブハーフの質の違い」がチーム全体に影響していたように感じる。バラックもいつものように攻撃を主とするのではなく、攻守ともに顔を出すバランサーのような役割を演じていて、結果FWのクローゼ・ポドルスキーもペナルティエリアよりちょい前ぐらいでパスを受けるシーンが多かった。
決勝でもこういう風な「攻撃的なイタリア」をやってくれたらうれしいが・・・・。どうかな・・・。

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