WC2006 FINAL

イタリア 1 (PK 5 – 3) 1 フランス
ジダン頭突き引退について、きっかけとなったマテラッツィの「テロリスト」発言について真実かどうか、現在の所双方の意見が食い違っているので行為の是非はあるが、引退試合+ワールドカップ決勝という事から察すると、相当な事を言われたのは間違いないだろう。ジダンがアルジェリア(イスラム過激派のテロが多い)系フランス人だということからすると、この発言はあってもおかしくない。ヘディングの空中戦で小競り合いがいくつかあって、それが溜まって何度目かの空中戦の時につい当たりが強くなったり手を出したりすることはたまにあるが(デロッシがこのパターン)、あんな露骨に頭突きをかますシーンは思い出しても記憶にない。それまで優勢にゲームを進めていたフランスもこれ以降人数的な問題でPK戦での決着を目指す雰囲気になったし、メンタルが一番左右するとされるPKではなーんかフランスの負けムードが漂っていた。
一応試合感想も書いておこう。開始すぐにアンリが「脳揺れ」状態になり、おいいきなり交代かよと不安になったが、再開後なんとマルダがダイブ気味のPK奪取。思い返すと、仮に頭突きが無くフランスが優勝していれば、このPKはあのレバークーゼン戦のダイレクトボレーシュートと並んで「ジダンの伝説シュート」として残ったことだろう。どの解説者も言っていたし、俺もそう思ったが、WC決勝の先制点という場面でチップキックはお見事すぎる。ただなあ、結果的には恐らく伝説シュート→頭突きが1セットで語られるんだろうなあ。
この1点で、フランスがいつものドン引きカウンターになりつつあったんだが、イタリアがセットプレイで同点に追いつく。PKを与えたのもマテラッツィであれば、豪快なヘディングシュートを決めたのもマテラッツィ。この時点では自作自演かよと軽く思ってたんだが、最終的に頭突きのきっかけもマテラッツィというのも何か因縁めいている。
これでお互い五分の試合に戻る。この時点でのイタリアディフェンスはまだ元気で、28分頃のフォアチェックからロングボールを蹴らざるを得ない状況に持ち込んだシーンは今大会の守備の良さを象徴しているようで、また3回のCKがいずれも決定機でうち1回は得点という、前半はどちらかと言えばイタリア優勢で終了した。
ただ後半時間の経過とともにイタリアのフォアチェックが少なくなって、ディフェンスと言うより「カンナバーロ+ブッフォン」て感じになって、フランスの決定機がかなり増えた。これはイタリアの運動量が減っていったにもかかわらず、フランスの両サイド、リベリとマルダは積極的に突破やフリーランニングを仕掛けていて、それにアンリが絡むシーンが多かったからだ。ここにきてようやくアンリらしい緩急のドリブル突破を積極的に試みるようになって、鉄壁の二人がいなければイタリアは得点されていたかもしれない。ついでに書くとこの日もトッティは消えていて、交代したイアクインタ・デロッシ・デルピエロも流れを変える要因にならなかった。で後半終了、延長戦へ。
延長になってもフランスが変わらず攻め続ける。ジダンのヘディングシュートは紙一重でブッフォンセーブ。こうしたフランス優勢の中で頭突き事件が起きて、これ以降試合が壊れてしまった。
結局俺は表彰シーンやトロフィーを掲げるシーンを見なかった。元々イタリアサッカーは嫌いだが、劣勢の時になりふり構わず相手を貶め流れを引き寄せるというのはそれだけ勝利への執念が強く、後々の記録や記憶には勝利しか残らないという事を知っているメンタリティだし、その点は凄いと思う。建前では「どんな理不尽でも暴力はダメ」だの「全世界の子供に悪影響」だの言われるだろうが、個人的にはサッカーとは無関係に、一人の人間として致し方ないほど侮辱されたらぶん殴るのも仕方ないと思うし、勝利よりも人としてやっちゃいかんことはあるんでねえのと思う質なので、やはりこの優勝は非常に後味が悪く、見るに値しなかった。

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