めし ★★★☆☆

主婦として日々炊事・洗濯・掃除とルーティーンをこなす事に疲れたミチヨが、気晴らしに帰郷する話。

タイトル「めし」に込められた意図は、夫が妻に単語で命令する、「(おい)めし!」ではないかと思う。昔ドリフか何かのコントで、「めし!」「風呂!」「寝る!」の3つだけの夫婦生活を描いたものがあったように記憶しているが、本作もその状況における主婦の心と、まるで女中のような窮屈な暮らしぶりを描いている。

そんな日常をぶっこわしたのが、東京から急に家出してきた親戚の娘だった。彼女は典型的クラッシャー、自由奔放な行き方は、今のミチヨにとってその存在そのものが気に触る。夫との関係も微妙にこじれ、ついに彼女は日常からエスケープ、実家でのんびり暮らすことになる。

東京の実情や、昔の友人の苦労を見ることで、あの日常がいかに充実していたかを思い知らされて、またいつもの普通に戻る。ストーリーでは大した展開は起こらないし、まさに平凡・日常を淡々と綴るのに終始する作風は、逆に現代にはない落ち着きがあって興味深かった。

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