ユメノ銀河 ★★★☆☆

これまでの人生、何の起伏もない平坦な道をただ淡々と歩んできた(らしい)女車掌トミ子が、連続殺人鬼と目される新高という男に、「殺人鬼」ということへの憧れにも似た恋心を抱いてしまうという話。
非日常への羨望というのは誰しもあるもので、またそれが日常に刺激がなければないほど強まってくる、一種狂気じみてくる、でまあ現実の話ならそこに落とし穴があるというのがよく聞くことだ。不倫とかね。
トミ子は自分が狂気であることを客観視しながらも、それを捨て去ることはできない、そんなこんなで「私って、狂気だわ」なんて考えてるうちにラスト、線路の踏切で「オーライ」の声。それは「こんな私もオーライよ」的なものも含んだ声に思えたが。
結局新高という男が本当に殺人鬼なのかどうかはわからずに、女車掌同士の噂が噂をよんで、こんな狂気じみた死に繋がったんじゃないのかなぁ。女車掌という仕事はやってられないわ、みたいなことを冒頭に言ってたし。
人間、普通でないことを求めてそんな自分に恍惚感を覚える。トミ子の場合はそれがすぐ死に繋がったが、あらゆる刺激の強すぎる現代ではまずそこに繋がらない。だから本作の時代設定、またモノクロであることが活きてくるのだろう。 

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