中米と南米のテクニシャン対決。
予想通り接戦となったが、最後は全体的なポゼッションで若干分のあるアルゼンチンに運が巡ってきたという感じ。
アルゼンチンはいつも通りリケルメを中心にパスワーク主体で崩しにかかったんだが、メキシコディフェンスの各個のゾーン意識がに広く、ボールホルダーに対して2~3人で囲い込もうとする。この方法は当然、囲い込みが失敗したりいともあっさり突破されたりすると必然的に数的不利な状況が色んなシーンで出来てしまい、後手後手に回るケースもあるんだが、守備に回った時の全体の守備意識が高いので、大きなサイドチェンジ(時間的余裕が生まれる)以外は致命的な突破を許すシーンはかなり少なかった。それでも、サビオラに2回・テベスに1回GKとの1vs1を作られたが、オズワルド・サンチェスが勝負強さを発揮してナイスセーブを繰り返した。このキーパーはホルヘ・カンポス以来長いことメキシコの正GKに収まってる気がするんだが、俊敏でいいGKだ。
解説の宮内さんは「サッカーをよく知っている」と言っていたが、守備に関してはそういうゾーン意識の高さと予測の的確さがそれを象徴していると感じた。なのでアルゼンチンは流れるようなパスワークを展開することができず、非常に苦戦する戦いとなった。お互い切り札を投入する70分前後ごろまでは、結果的に硬直状態であってもいつゴールが入ってもおかしくない緊迫した展開で見てるこっちもめちゃんこ熱くなる。
今回ブルディソの怪我で、右SBにはミリトでもなくコロッチーニでもなく、スカローニが起用された。これが特に前半ブレーキになったように感じる。アルゼンチンはソリン/マキシの左サイドを重視したサイドアタックが多く、右はある意味攻撃において捨てにかかってるようにも見えるんだけど、スカローニは頻繁にオーバーラップし、右からゴール前にクロスを放り込むものの精度が悪く(ゆるいクロス)簡単にカットされてしまう。むしろその裏を狙われたメキシコのカウンターが何度か見られ、実際自身のミスを取り返そうとしてイエローカードももらってしまった。次回は本来CBのミリトあたりをコンバートして使って欲しい。
展開が動き出したのはメキシコがシーニャ、アルゼンチンがテベス/メッシを投入してからだった。シーニャは中央からのドリブル突破でアルゼンチンの固いディフェンスを揺さぶるなど、アルゼンチン寄りの自分としてはうぜーことこの上なし。彼にボールが渡ると(これまたバイタルエリア付近でフリーで受けることが多いんだ)、何か起こりそうな予感が巡り気が気ではなかった。これはペケルマンが珍しく奇策を用いたというか、安定していた2ボランチのうちカンビアッソを下げて、リケルメをフリーな状態でパス出し出来るようにアイマールを投入したのも影響しているように感じた。残ったもう1枚のマスチェラーノは、そりゃもう獅子奮迅。
アルゼンチンの前2人も巧みなメキシコディフェンスを引っ掻き回すのには成功したと思う。特にメッシの動きは機敏で危険な感じはしたが、正直得点が生まれそうなにおいはしなかった。彼らはとりあえずスピードと下半身の強さでディフェンスを揺さぶるのが目的であるように見え、勝負は中盤の攻撃参加にあるように見えた。
結局決勝点はマキシの「ワールドカップぽい」ミラクルなボレーだったんだが、両チームのディフェンスの固さを考えるときっちり崩して得点を決めるというよりも、ああいう形で運を引き入れたほうが勝利するというのも妥当な結果だと思う。それに俺、なんつーかGL見ててやっぱ昔の予想通りアルゼンチンが一番好きなようだ。別にメッシやリケルメといった個人に魅了されているのではないが(ソリンには顔で魅了されてるが)、ペケルマンが作ったチームのピースのはまり具合が見ていて非常に心地いい。Jリーグ開幕からサッカーを見続けて(といってもそのうち半分はテレビの都合や住んでる地域の都合でかなり限られたソースだったが)、最初にはまった1995ベルマーレ、ヴェンゲルグランパス、博実FC東京、アーセナル、2002トルコ、そして今回のアルゼンチンと、一貫性はないが方法がはっきりしてるチームが好きなようだ。
※リアルタイムと約3日ずれている。いくら何でも詰め込みすぎだろうが。見るのを捨ててるゲームもいくつかある。あーもったいねー