ポルトガル 1 – 0 オランダ

Round-16屈指の好カードのはずが、主審が壊した試合となった。

退場の3人

確かに両チームともフィジカルコンタクトを厭わず、危険の芽は早めに潰していくような雰囲気はあった。その背景にはこのゲームの難しさ・重要性について双方ともチームのコンセンサスがあった所以だろうし、前半のコスティーニャの累積レッドカード、60分頃のブラーリューズの累積レッドカードは妥当なジャッジングだと思う。「壊した」というのはここではない。
きっかけは70分頃、ポルトガルゴール前の混戦で負傷したリカルド・カルバーリョをピッチ外に出すため、ポルトガルのカウンターを止めるようにイワノフ主審がレフェリー・ボールとして試合を中断させた。こういう場合再開はレフェリーからのドロップボールで、守備側(この場合オランダ)が攻撃側(この場合ポルトガル)の陣地に大きく蹴り出し、攻撃側のゴールキック・安全な位置からのスローイン等でリスタートすることがマナーというか、それこそFIFAが掲げるフェア・プレイとして、暗黙のうちにそうなっている。
しかしこのシーンでは、レフェリーがドロップボールからのリスタートを徹底させず、守備側のコクーが横にパスしてそのままインプレー(オランダの攻撃)になってしまった。この直後まずデコが危険回避するように後方からのタックルでイエローカード、もめたところでスネイデル・ラフィーが立て続けにイエローカード。その後ポルトガルのプレーヤーが主審を取り囲み何か訴える様子が何度か見られた。
この裁定が引き金となり、互いのテンションの高まりが抑えられない形でラフプレーが頻発、「フェア・プレイ」の見地から主審は次々にファウル・イエローカード・累積レッドカードを出しまくり、終わってみれば9人-9人。会場内も最後までブーイングの嵐だった。
荒れた展開になってからは大味な試合ながらも、両者とも質の高い選手が揃っていてあわや得点というチャンスシーンが幾度となく作られたので試合だけ見れば面白い残り20分だったが、ジャッジに対する不信感は最後まで払拭されなかった。試合後の会見でファン・バステン/フェリペともにその点を指摘していたし、特にファン・バステンは決して負け惜しみではなく、実際に主審が試合を壊してしまったのでもう言っちゃえって感じでぶちまけたのだろう。その気持ちもわかる内容だった。
スタートからの熱さで言えば前日のアルゼンチン-メキシコに負けず劣らず、顕著に違うのはブサッカとイワノフのレフェリングの基準設定のように感じる。ヒートアップが予想される試合ではそんなに危険でないものについてはファウルを取らない(ファウルの判断基準を高めに設ける)ようにしたり、また危ないスレスレのプレーについては口頭注意を徹底したり、一旦クールダウンする間を作ったりするなどしないと、この試合のように壊れてしまうのだろう。ブサッカは流して好ゲームを演出し、イワノフは「フェア・プレイ」に則り、負けたオランダは後味の悪さ、勝ったポルトガルにしても手痛い傷(デコ・コスティーニャ・ロナウド)を負った。

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